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カシミヤベビー服専門店 okurimono のブログです

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「ウールの王様」チルー、絶対買ってはいけません

  • 2014.08.01 Friday
  • 0
    日本初 カシミヤベビー服専門店okurimono店主竪谷の妻の方です。
     
    先日、神の毛を持つビクーニャをご紹介しましたが、実はもう一種
    類、カシミヤより細かい毛を持つ動物が存在しています。チルー
    (Chiru)。正式にはチベットアンテロープ(Tibetan Antelope)
    というカモシカの仲間です。
     
    ビクーニャは伝統的な狩猟が認められて、ごくわずかですが製品化
    もされていますので、お金に糸目を付けなければ手に入れられない
    こともない。でもこのチルーで作られた製品は、どんなにお金があ
    ったとしても買ってはいけません。


     
    出典:Little India

    チベット高原を中心に、インドのラダック地方まで広く分布。3,700
    〜5,500メートルの高さにある高地や渓谷で、年平均気温は氷点下、
    風が強く乾燥し草木がまばらにしか生育していない場所を、移動し
    ながら生活しています。
     
    チルーの毛を原料とするショール「シャトゥーシュ」は「ウールの
    王様」とされ、大きなショールでも指輪を通り抜けるといわれるく
    らい滑らかなことから、別名リングショールとも言われています。
    インドでは何世紀もの間、マハラジャなどの上流階級の結婚の持参
    物として珍重されてきたとか。
     
    軽く、柔らかく、弾力性があり、保温性に富んだ毛。でも、価値が
    あるとみなされるのは首周りの長い毛だけで、1頭でわずか100g採
    れるかどうか。ショール1枚作るのに3〜5頭分が必要になります。
    そして問題なのは、チルーを殺して皮を剥ぎ、毛を採取するという
    こと。
     
    1980年代後半から1990年代にかけて商業規模に拡大した狩猟は、深
    刻な数の減少を引き起こし、20世紀初頭には約100万頭と言われた生
    息数は、1998年には推定75,000頭以下となりました。2006年には15
    万頭まで回復と報告されましたが、詳細はわかっていません。
     
    現在中国とインドでは法的に保護され、国際自然保護連合(IUCN)
    は絶滅危惧種に指定。1975年からワシントン条約により国際取引は
    禁止されていますが、密猟はやみません。
     
    日本国内では2001年にショールが代官山のブティックで販売され、
    外為法と種の保存法違反で関係者が逮捕されています。ショール2枚
    を80万円で販売したとか。販売は当然のこととして、知らずに買っ
    ても処罰されます。
     
    『買う→需要増加→原料が高額で取引される→密猟を誘発→個体減少』

    買うことは密猟を助長して絶滅に加担すること。そのくらいの想像力
    と知性は、大人なら最低限身につけておきたいものです。
     
    一方で「彼らはファッションの犠牲者だ」と述べている保護活動家も
    います。世界に出回るカシミヤの90%は、中国とモンゴルからもたら
    されています。チルーが生息するエリアが、増える一方のカシミヤ山
    羊に占領されているというのです。
     
    わたしたちが手軽にカシミヤ製品を手にすることができるのは、カシ
    ミヤ山羊が家畜化できたことによるものが大きいでしょう。でもそれ
    によって、チルーをより一層過酷な状況に追いやっている。使い古さ
    れた言葉ですが、自然というのは本当に微妙なバランスで成り立って
    いるのですね。
     
    「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないけれど、カシミヤのセーターを
    買うという自分の行為が、遠い異国の野生生物に影響しているとは、
    考えが及びませんでした。カシミヤの恩恵に感謝して、大切に末永く
    着ないとバチが当たりそうです。